< 有情、醜く生きる >

独りで生まれ やがて終わりを迎える

独りのままでは
やせ細り 惑い 捻れて潰れてしまう

世迷い人にはなるまいと
残酷と等しき幸せを 求めて
愛想笑いと少しの世辞を覚え
本音をしまうポケットを作る

だけど

赤ん坊のままの感情が
ぐずつく雨の夜 涙が止まらない


< 雨が・・・ 

雨が降って 青い柳はしっとりと葉を垂らす
湿気を含んだ空気が
アスファルトの上を 裸足で
音を立てずに往き過ぎる

どうして みんな
どこか無口になるんだろう

雨が降るから

雨が全ての想いを流してしまうから

心が 冷えていく


< Naked >

さらけだした背中の
骨の形まで愛しいと思う
胸の厚みの感覚
寄りかかると汗の匂い
幻覚へ誘うよ

ふたりでいるときは 子供に還るから
誰でもない 名前もない
ただ 惹かれあって 求めて
そのまま死んでもかまわない

約束のないふたりだから
今 全てを見せあって
でも 本音だけは隠したままで
汚れたい 泥まみれの欲情でいい

くちづけなんてよして
噛んで
この心を思いきり

もっと 見せてあなたを

瞳に火が走り身体を覆うような
戦慄の想い焼きつけてあげる

さあ 身体を開いて

もっと 見せてあなたを

剥き出しの欲望と熱情が絡み合うその刹那
抱きしめ合いたい あなたと

強く きつく 痛みさえ悦びに変わるまで

抱かれていたい あなたに



 < 存在 >

いつも 楽しみにしていると
憧れは全部 土足で踏みにじられて
戯言を言うなと叱られた

ひとつ歳をとればその分
夢は泡になって消えていく

欲しい物は我慢して
無茶な事は避けて通る
希望というメッキのはげた心
闇色に変わる空洞の眼は何も見ようとしない

どう

どんな風に

自分を開放したらいいのかわからない

甘えるなと怒鳴らないで
その声にきっと潰されてしまいそうだ


どう

どんな風に

自分を開放したらいいのかわからない

わからない


 魔法 >

空気の温度が微妙に上がる

あなたの声が聞こえただけで

この小さな喜びだけで

充分 幸せ

それ以上これ以上

何も夢見ないと誓うから

取り上げないで

たったひとつの宝物

大好きなあなたの声が耳から心へ入る時

生きていていいよと認められたようで

その時だけ暖かなひとでいられるの




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