●ジンジン

足の裏が ジンジンするほど
立ちつくして 待ってる

なんだか このまま一本の樹になってしまいそう

待って待ち続けて
根を伸ばし、葉を繁らせ 花を咲かせよう

季節が巡っても
変わらずに じっと待っている

あなたが わたしの 太陽なのだから

あなたを 想う気持ちが 命を燃やす糧だから




●逢いたい

切ないと溜め息をつくことは
もしかしたら とても簡単かもしれない
喉につまった言葉
だんだん固くなって もう 出てきそうにない

逢いたい

この目を見て

自分でも混乱するほどのこの気持ち

読みとって欲しい

逢いたい それは 答えじゃないのかもしれない・・・

逢うすべが何もないなら このまま
忘れてしまうことを選ぶべきかもしれない
渇いた唇 震える
どんどんわからなくなって もう 気が狂いそう



●降る

暖かな雨が 降っている
張りつめた冬の空気を 揺らすように

小雨を手のひらの上 遊ばせて
薄く 鈍く射す わずかな陽に
訪れる季節を 予感する

降る 降る 雨は まだ降る
でも だんだん 雨足は小さくすぼむ

来る 来る 春が すぐそこに
だから この雨は 冬の涙雨なんだろう

顔を洗うように 桃の花
雨粒受けて 花びらを揺らす

靴の先 少し湿ってるけど
水しぶき わざと飛ばして
子供のように はしゃいで歩く

降る 降る 時は今日を積み重ね
やがて 雨はあがり 季節は移るだろう



●面影

遠い日へ 想い馳せれば
胸の熱さと目頭の熱さ
痛みに似た名前のないこの迫り上がる感情

高い空へ 腕を伸ばし
無い物ねだりする時の
半分すねたような目つきさせて陽を仰ぐ

あなたの記憶の中に
私は もう かけらもいないのでしょうか
蒼く透ける空は 答えを風に忍ばせ
震える肩を 包んでくれる
励ますように

伸ばした腕で自分を抱きしめて
微笑みの作り方思い出そうとしている
浮かんでくる愛しい面影をかき消すために



●銀色の足跡

シッポの先で 風の行方を占った
 これから 今日は雨になる

 だけど あたしは 街を出た
 おいしいエサより 暖かな寝床より
 もっと おもしろい物を見つけるために

 たとえ血にまみれ 傷が絶えないとしても
 やせ細って草の影 ひっそり朽ち行く運命だとしても

 ニュッと突きだしたこの爪を見て
 あたしを待ってるスゴイ何かを捕まえてやるのよ

 小雨が降り出した夕暮れ時
 小さな足跡が街灯りに照らされても

 どうか あたしを 探さないで
 ちやほや撫でられて 媚びうる毎日より
 ずっと ドキドキする世界を見つけるのよ



●見え透いているのに

振り向かせたい その気持ちは
見透かされているのに
あなたの気持ちは まるで見えない

だんだん 辛くなって
為すすべが無くなっていく
手のうちは ゼロ
どうにもならない

ほんの一言が どんなに私を
救ってくれるかを
あなたは 知らないの

それとも 知っていて
わざと 知らんぷり決め込んでいるの

届かない 気持ちが
全部 あなたの前で消えてしまう
それなら いっそ この身体も
塵になってしまえたらいいのに

あざとい手口は 見え透いていても
どんなにあなたを好きかは
わからないのでしょうね



●黒の視線

小さな嫉妬が こんなにも醜いとは

嘆きにさえならない

見えない
見えない
見えないから

汚い自分の姿に気づけない




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