Untitled

空に切り取り線を入れるみたいに
飛行機雲が伸びている
はつなつの青は 若すぎて
見上げるたび どこか透けて見える

白いカーブ 伸びる先に
何があるんだろう

はつなつの青は 純情じみて
急に泣きたくなったりする


手紙

天使の羽根を一枚盗んで
紺色のインクで 手紙を書くわ

真っ白い紙の上に 綴られた文字は
今では どこか 古風な感じ
滲んだ影が はかなげで
これで気持ちなんて 伝わるわけないなと
目を閉じて ギュッと閉じて
溜め息 ひとつ

一筆啓上 意を決して
そんな覚悟があるからこそ
したためた手紙の真心は 届くのかな

一枚羽根が足りずに 失速する天使の背中に
羽根の代わりにくくりつけたこの手紙

届かなくてもいいの 
ただ 気持ちを心から切り取りたくて
書いた・・・ そんな手紙だから


雲行き謎めく


春霞の空は グレーがかった水色
湿った風が 吹き抜けていく
開いたばかりの花の横に
散りかけてしおれた花がうなだれてる
移ろって行くこの時間
不透明な雲の切れ間から射す陽に
手をかざせば 迷子の気分

いつも5月手前には
途方に暮れた悲しさに見舞われる
ひとり残された気がして

不透明な瞳の色に反射する陽を
涙が消し去ろうと溢れ出す

ひとり残された気がして

ひとり立ち止まったままのようで

ひとり・・・


愛しい人へ

正夢のような 鮮やかな花の波
さみしさを埋めるには まだ 足りない
儚い望み 涙の形の種を蒔こう
るり色の花が咲くかしら

甘い感傷は大人の悪戯心
きれい事と愛想笑いに疲れて
ひとりになりたいなら ここへ来て
盧生の夢に涙するのもいい

あなたに逢いたいけれど
それぞれの道があるから
孤独を切り札に変える強さ身につけて
恐れないで生きていこう

さみしくても
泣きはらしても
胸の中に あなたは存在する

そう 言い聞かせて

ねぇ 私 頑張るからね

小さな約束は愛とひとしいと言って・・・


Breach!

どうしたらいいの?
顔をゆがめて 溜め息ついた
SOSは届かない

ノック3回 暗号の答えをどうぞ
知らん顔で 聞かないふりしてると
ひじ鉄あげるから

春が天使の季節なら
冬は悪魔の誕生日

さしずめあなたは氷の中で
何万年も眠る原始細胞みたい

だって 意地悪
ちょっと 冷たい

SOSは届かない
SOSが届かない

私の心は 墜落する
もう ちりぢりのまま・・・


青い約束

あなたと分かち合える物が
たったひとつあるとしたら
それは 空だけでしょう

晴れた日も雨の日も
同じ空の下
明日へ向かい 一生懸命生きている

辛い日も嬉しい日も
空を仰ぎ見て
あなたに話しかけるつもりの私です

素直な気持ち空へ広がる
手を伸ばせばあなたに届く気がする
青い約束は 永遠の想い


行く春に

牡丹が咲くと雨が降る
古い言い伝えにすぎないのに
やはり 白い花を濡らす
天の涙は落ちてきた

春が行くことを
知っているのか

季節巡れば また 違う試練が
人を待つことを 悲しんでいるのか

いいえ

雨はいつもやさしい
湿気を含んだ緩やかな時間
息をついて 一休みしなさいと諭してる

行く春に ありがとうを言う
心のゆとりを持つために

天の涙は恵みの雫


抱擁、思い出が生まれるとき

あなたのことを忘れられる
忘れることで 素晴らしい日々が
美しいまま思い出になるなら
私は それを選ぼう

どんなに辛く泣いたとしても
胸に開いた穴が傷口広げても
きっと 優しく微笑んでみせる

寂しくないはずはない
当たり前のこと

でも 喜びも悲しみも
本当は 双子のようなの
全部腕の中へ包み込んで
私の細胞のひとつにするから

ぎゅっと強く抱きしめて
私の命のかけらに還るから

あなたも思い出として
私の細胞のひとつになるのね

もう 離さないわ




TOP戻る    点点点INDEXへ 

ページ1 ページ2 ページ3 ページ4 ページ5
ページ6 ページ7 ページ8 ページ9