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<影> 2000.12 影は写っていた ここにいるのだと告げていた まだ小さいがはっきりと痛みとして 存在を私に教えていた 『 お前は私の一部なのに どうしてそんなに苦しめる? 』 問いかけても答え返らず 只 鈍痛が泣き声のように身体に響いていた 影はそこに写っていた |
<選択肢>2001.8 夢が叶うことと幸せになることは 違う気がする 夢を叶えるには 自分ひとり 努力と後悔しない強さが必要で 誰かを傷つけることもある 幸せになるには 誰かとふたり 理解といたわりが大切で 自分を押さえることもある ふたつが同時に出来たら どんなにいいだろう どうしていつも 人生はふたつにひとつ 迷ってるうちに終わってしまうなら どっちを選ぶ?! どちらも望まず ただひたすら一生懸命生きようか 真夏の蟻のように |
<抱きしめたい>2001.10 手いっぱい抱きしめたい 空を 花を 夢を 胸が熱くなる感覚 命の躍動を肌で感じたい 生きている 生きて行くんだ しっかりと 腕の中に未来を抱きしめたい |
<悪夢>2001.11 心の奥底に押し込めた日々の苛立ちが 浅い眠りの中で起き出す 必死に蓋をして葬ったつもりの弱音が 一気に吐き出してきて 慟哭が闇を裂く 泣いてどうにかなるわけではないし 泣けば泣くほど自分が情けなくて やりきれないのだし だけど涙は溢れてくる 身体の真ん中から吹き出してるようだ 言葉にならない気持ちが 本当の自分が黒い静寂に滲んでいく 遠吠えみたいな嗚咽そして溜め息 強がりも意地も捨てて 赤ん坊みたいに泣いていよう 泣いてみよう 今夜だけ・・・・ |
<泣かないで>2001.11 鎮痛剤が効かないのは おまえが 駄々をこねているから そんなにけっ飛ばさないでおくれ わかっているよ 出ていきたくないんだろ だってお前は私の証明として そこに存在しているんだから おまえをダメにしたのは 私自身なんだろうか 私は誰に謝ればいいんだろうか 免罪符を乞うように 弱音をはいた夜 励ましの言葉が痛みを 優しく撫でてくれた 泣かないで 私 涙は今は要らないはず さよなら もうひとりの私 それを告げる朝まで |
<世界の一番おしまいで>2001.10 自分で自分を追いつめている気もする でも 痛みは確かにある 痛みと闘って傷のない身体のまま 生きることもひとつの道だけど 痛みを切り捨てて生まれ変わり 生きて行くことも勇気だろう 世界の一番おしまいで 道は曲がりくねった一本道で 迷子になりかけて泣きそうな時 仰いだ空の透明さに 何かを教えられた気がした 後ろ向きに歩かないで 前をしっかり見て歩き出そう 世界から宇宙へ 未来は遠いようで きっと 近いはず 後悔と惑いは捨てて行こう 痛みより辛いのは時間の無駄遣いだから 負けないよ 負けないよ |
<手術1ヶ月前>2001.11 決心を 知っているのか 空はただ 素直になれと 私を包む |
<夜の向こうに>2001.12.17(入院前日) 長い夜の向こうに朝があると 誰も人は思うけれど 朝の来ない日は無いと 当たり前のように言うけれど 生きていく力が溢れて 希望が息づく身体にだけ 新しい朝が訪れることを 誰も知らない 同じ毎日の繰り返し 怠惰な1日のリズム 明るければ朝 闇が包めば夜 それは大きな間違い 朝陽は命を輝かせる 不思議な力を持っている 生まれた意味を考え 精一杯頑張ることを誓う 大切な時間 それが朝、1日の始まり 夜の向こうに有る物は 未知なる自分の姿 切り開け明日をその手で あゆみを進めろその足で |