恋虫の章・・・ページ3

 

夏の終わりに書いた
あなたへの手紙
さよならと書いては そこだけ
くり抜いて
愛していると書きかけては
破ったから
穴だらけの手紙になってしまった

わたしの心の形も

こんなふうなんです


福寿草の花言葉は『 永久の幸せ 』

かひなに抱きし 浅き春の陽よ
丸く 包めば 万華鏡
歳は 十三
頬をさくら色に染めた
あなたが見える

忘れじの 愛しき瞳が映る

熱くこみ上げてくる
痛いほどのやるせなさ
胸 いっぱいに広がる

髪は 黒髪
瞳に光りがはじけて
あなたが微笑む

抱きしめたいと思ったあの日が映る

蒼き 海原 両手をひろげ
ピアノを 奏でる

遠い日へ 連れていく
静かな調べに
思い出される 愛しきひとよ


●お写真は みなこさんから頂きました●


夏の終わりに感じる特別な痛みは何だろう
脱皮する苦しさなのか
逝く季節への切なさなのか
夕陽の海へ身を投げたら そのまま燃えてしまえる気がした
夏なら 出来る気がした
風が吹き抜けるたび 色褪せる思い出の瞬間