白い犬とワルツを
1993年 アメリカ TVドラマ
グレン・ジョーダン 監督作品 メインキャスト/
ヒューム・クロニン/ジェシカ・タンディ (実生活でも夫婦でした)
・簡単におはなしのこと
60年近く連れ添ったコウラ夫妻。だがある日突然、妻が急死する。ひとり残されたサムの新しい暮らしが始まった。
娘達は、父を心配して何かと世話を焼いてくる。そんな彼の前に、真っ白な一匹の犬が現れるようになる。しかもその犬は
サムにしか見えないのである。娘達は、母の死のショックで気が変になったのでは?と心配し始める。
そんな周囲の心配をよそに彼は、同窓会への出席を決意し、犬と共に旅立つのだった。だが、目的地は遠く、彼のオンボロ
トラックも言うことをあまり聞いてはくれない。犬に励まされ、やがて彼がたどり着いたその場所とは・・・犬の正体とは・・・
白い犬とワルツを
2002年 日本映画 月野木隆 監督作品 仲代達矢/南果歩/若村麻由美/藤村志保
・簡単におはなしのこと
テリー・ケイの原作を日本に置き換えて映画化。舞台は、関西のとある町。造園業を営む中本英助と光恵は仲のいい夫婦だった。
だがある日、英助が仕事から戻ると妻が庭先で倒れていた。そして病院でそのまま、英助と娘達が見守る中、息を引き取る。
それから英助の一人暮らしが始まった。娘達の同居の勧めも断り、一人で暮らしていこうとする英助の前に一匹の真っ白い犬が
現れる。そしてその犬は、英助にしか見えない。
妻の四十九日の日に、英助は光恵が臨終の間際に言い残しかけた言葉を思い出し、それを貫こうと犬ととともに家を出る。
それは、二人の亡き息子への約束でもあった。思い出の地を目指し、英助の旅が始まる。
二つのワルツを見て
テリー・ケイの原作に忠実なのは、もちろん米国のドラマ版です。そしてこれは、永遠の愛を描こうとしたファンタジーだと私は思います。
妻との思い出の地へ旅しながら、まるで時間を遡って行くかのようにサムが色んなことを思いだし、犬に語りかけるシーンは、とても心温まる
思いがします。その逆に、日本版は、夫婦の絆というより、家族に焦点を当てているように思えました。原作の黒人のベビーシッターは
こちらでは、在日韓国人の親子でその人種間での問題も織り込まれ、老人との同居問題、また納骨という米国にはない葬儀の習慣など
全然違う、深刻でとても考えさせられる事が多い映画になっていました。
原作、米国TVドラマ版、日本映画版、どれも違う味わいが有ります。そしてそれぞれが素晴らしい物語であり、共通してくるのは『人生』
そのもだと私は思いました。
尚、米国ドラマ版で夫婦を演じたヒューム・クロニンさんとジェシカ・タンディさんは、どちらもお亡くなりになりました。お二人とも素晴らしい
名優でした。だからこそ、このドラマがより素晴らしい作品として、末永く残っていくと思います。